FIREを達成しても働きたくなる本当の理由
人生を自由に!カオルさんです。
多くの人が憧れるFIRE(Financial Independence, Retire Early:経済的自立と早期退職)。働かずに自由に生きられる理想的な状態だと思われています。
しかし、実際にFIREを達成した人の多くが体験する現実があります。それは「自由になったはずなのに、なぜか働きたくなってしまう」という現象。
お金の心配がなくなり、時間も自由になったのに、なぜ人は再び働きたくなるのでしょうか。今日は、私自身の体験を通してFIREの本当の真実をお話しします。
FIREを達成した後に待っていた現実
私は2014年6月にパートナーと一緒に始めた事業が、7年後に7.2億円で株式売却となりました。税金も安く、まとまったキャッシュが手に入り、まさにFIREを達成した状態でした。
しかし、事業は結局乗っ取られてしまい、やることがなくなりました。
「さて、何をしよう?」
最初に始めたのは、バイクの免許取得でした。経営者の知人から「アイスランドでツーリングしたら面白い」という話を聞き、バイクの免許を取りに行きました。
その後、オフロードバイクを購入し、毎日ブラブラと過ごしていました。1時間かけて普段行かないランチに行ったり、滝を見に行ったり、山道を走ったり。当てもないような毎日を送っていました。
3ヶ月で訪れた深刻な問題
自由な生活を始めて3ヶ月が経った頃、私は完全に飽きてしまいました。
やることがないのです。
最初は誰かから頼られることが嬉しくて、勝手に経営アドバイスをしたりしていました。しかし、それでも満たされない何かがありました。
そして、気がつくと私は死にそうになっていました。正確には、自分から命を絶つことを真剣に考えるようになっていたのです。
今でこそ笑って話せますが、当時は本当に深刻でした。
FIREを達成した人が陥る「隔離感」
なぜそのような状態になったのか。
おそらく、社会に必要とされなくなったという不安、隔離されたような感覚に襲われたからだと思います。他の人から求められなくなってしまったのではないかという、なんとも言えない孤独感でした。
この話をFIREを達成した他の人にすると、「ああ、私もです」という反応が返ってきます。これは、FIREのあるあるなのです。
多くの人が同じような体験をしている。これがFIREの真実の一部なのです。
人間の本質的な欲求:働くことの意味
人は、働くことで幸せを感じる生き物です。
「それは、お金を持っている人の特権だ」「そんな体験をした人だから言えることだ」と思うかもしれません。確かにその通りです。実際にその状況になってみないと分からないことです。
しかし、実際に働かずに生きていける状況になってみると、働きたくて働きたくてしょうがなくなります。
この感覚は、私が26歳の時にタイを一人旅した経験と似ていました。
最初は3ヶ月の予定で始めた旅でしたが、1ヶ月も経たずに帰国しました。お金がなくなったわけではありません。働きたくなったのです。
誰かの役に立ちたい、必要とされたいという、何とも言えない衝動に駆られました。これが人間の本能なのかもしれません。
FIREの本当の価値とは
FIREを達成してもやることは変わりません。結局、働くことになります。
ただし、FIREの本当の価値は別のところにあります。
それは、「やりたくない仕事をしなくて済む自由」「本当に意味があると思える仕事を選べる自由」です。
お金のためだけに嫌な仕事を続ける必要がなくなる。これがFIREの最大の意味なのです。
働くことの本当の意味を知るための実践ステップ
ステップ1:自分にとって「働く」とは何かを定義する
お金を得るためだけが働く理由ではありません。あなたにとって働くことの本当の意味は何でしょうか?
ステップ2:誰かの役に立つ経験を積極的に作る
小さなことでも構いません。誰かの役に立つ経験を意識的に作ってください。その時の感情を観察してみてください。
ステップ3:お金以外の報酬を意識する
感謝の言葉、成長の実感、達成感、つながりの深まり。お金以外にも仕事から得られる報酬は数多くあります。
ステップ4:長期的な視点で自分の価値を考える
10年後、20年後、あなたはどのような価値を社会に提供できているでしょうか?長期的な視点で自分の存在意義を考えてみてください。
ステップ5:FIREを目標ではなく手段として捉える
FIREは目標ではなく、本当にやりたいことをやるための手段です。あなたが本当にやりたいことは何でしょうか?
FIREを達成したとしても、人間の本質的な欲求は変わりません。誰かの役に立ちたい、必要とされたい、価値を提供したいという想いは、おそらく一生消えることのない本能なのです。
だからこそ、FIREを目指すとしても、その先に何をやりたいのかを明確にしておくことが重要です。
働くことは、決して苦痛ではありません。誰かの役に立つことができる、これほど幸せなことはないのです。FIREを達成して、改めてそのことを実感しました。
人生を自由に!カオルさんでした。